高市早苗総裁を待っていた報道関係者による「支持率下げてやるぞ」発言。
時事通信社は男性カメラマンの発言だったとしてホームーページに「おわび」文を掲載した。
しかし時事通信の対応にはネットには批判の声が相次ぐ事態となっている。
本社カメラマンを厳重注意
9日に掲載された時事通信の「おわび」文によると、「支持率下げてやるぞ」「支持率が下がるような写真しか出さねえぞ」と発言したのは、映像センター写真部所属の男性カメラマンだった。
SNSではこれ以外の発言もあったが、このカメラマンの発言ではないことを確認したという。
時事通信は男性カメラマンを厳重注意したとしている。
編集局長「雑談の発言」、社長室長「ご迷惑をおわび」
藤野清光取締役編集局長は「雑談での発言とはいえ、報道の公正性、中立性に疑念を抱かせる結果を招いたとして、男性カメラマンを厳重注意しました」とコメント。
斎藤大社長室長は「自民党をはじめ、関係者の方に不快感を抱かせ、ご迷惑をおかけしたことをおわびします。報道機関としての中立性、公正性が疑われることのないよう社員の指導を徹底します」とコメントした。
「厳重注意」は軽い?適切なのか

「厳重注意」はどういったものなのか、「企業経営者のための法律相談サイト」の記事を引用する。
厳重注意とは、懲戒処分を科すまでに至らない程度の問題行動があった労働者に対して行われる注意です。
厳重注意には、行動での注意だけでなく、謝罪文や反省文の提出を求めるものもあります。
厳重注意は、懲戒処分にはあたりませんので、労働者に対しては、具体的な不利益が生じることはありません。あくまでも懲戒処分ではなく、懲戒処分を行う前段階で行うものという位置付けです。
つまり「注意」であって「懲戒処分」の前段階で行うものを「厳重注意」という。
「厳重注意」は書面で行われるものもあるが、時事通信の「おわび文」には書面か口頭によるものかは記載がなく、方法については不明である。
担当業務の配置転換などに関する記述もなく、ただ「厳重注意」をしたとしている。
いずれにしても、男性カメラマンに重たい処分を下したというわけではないようだ。
メディアの「本音」と「建前」
Xで「厳重注意」と検索すると、時事通信に対する批判的なポストが並んでいる。
時事通信の対応に納得している声はほとんど聞かれず、オールドメディアへの不信感がかえって増大しているようにも思える状況だ。
時事通信は「雑談での発言とはいえ、報道の公正性、中立性に疑念を抱かせる結果を招いた」と説明しているが、事態はより深刻に思える。
今回の事案は時事通信1社による不祥事の枠を超えて、メディア全般に国民の疑問が向けられる結果を招いているからだ。
「報道の公平性、中立性」といっても、実際には報道各社によって政治的スタンスの違いがあることは誰でも分かっている。
日本では「言論・報道の自由」が尊重されており、基本的にはどのようなスタンスをとってもメディアとしての活動が許されている。
朝日・毎日・読売・産経など、左右さまざまなスタンスの社があることによって、結果的に「報道の公平性」が担保されていると私は考える。
つまり「本音と建前」によって、メディアが政治的スタンスを持つことを国民に許されてきたのだ。
今回の発言を「雑談の延長」という程度の認識で済ませようとする時事通信の姿勢は、多くの国民に支持されるのか疑問を感じる。
メディア全般に対する信用を著しく落とした発言であり、オールドメディアへの風当たりはますます強くなりそうだ。

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